概要

先端技術の進歩は安全保障政策に深い影響を与える。しかし、その相互作用は、複雑で不確実である。この「先端技術と安全保障」の関係をより深く理解し、かつ実効性のある政策を立案するために、「安全保障と先端技術プラットフォーム」Platform for Security and Emerging Technologies:PSET)を設立する。本プラットフォームは、「安全保障と先端技術」に関心のある研究機関・グループが、それぞれの研究成果や情報を持ち寄り、共通課題について自由に意見交換を行い、建設的な対話を通じて、責任あるイノベーションと政策立案に貢献することを目的とする。日本パグウォッシュ会議「ロボット兵器問題研究会」、長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)「先端技術と核リスク」研究グループ、明治大学市民社会と科学技術政策研究所(POLARIS)「軍民両用・融合技術研究ユニット」、および戸田記念国際平和研究所( Toda Peace Institute)が創設メンバーである。本プラットフォームは参加者(機関)の研究に介入することはせず、情報の共有、意見交換、並びに研究成果の発表の場となる。このプラットフォームが、安全保障と先端技術に関して、日本では特に貴重な「自由で立場や対立を超えた対話」の場となれば幸いである。なお、本プラットフォームは特定の先端技術について特定の立場をとることはない。


使命

本プラットフォームの最大の使命は、日本では貴重といわれている「自由な議論の場」を提供して、社会的責任を踏まえたイノベーションや政策立案に貢献することである。そのためには、先端技術のもたらす正負の影響について、関心のあるステークホルダーが情報を共有し、率直に意見交換を行い、そして提供される研究成果や分析に基づき、一般市民にも信頼される情報提供を行うことを使命とする。本プラットフォーム自身は特定の先端技術について立場をとることはしないが、参加者(機関)による研究成果や政策提言の発表を行える場を提供する。


特色

類似の研究会などとの差異を明確にすべく、PSETでは以下の3原則を重視する。

  • 科学的・技術的視点に基づく議論 science/technology-based:先端技術についてイメージや誤解等に基づいた議論がなされることが多い。PSETでは、科学者・技術者の知見を重視し、科学技術の社会的影響評価に基づく議論を行う。
  • 独立、不偏の原則Independent:先端技術とその軍事利用をめぐっては、多様な立場からの議論がすでに行われているが、多くの場合、「支持・反対」の立場からの議論を行うことが多い。PSETでは参加者・参加機関の意見を尊重しつつ、「特定の立場をとらない」原則を厳守する。
  • 包含的で自由な議論 free and inclusive:PSETでは、産・官・学および市民社会など、あらゆる分野からの多様な意見をできる限り包含的に(inclusive)取り入れ、かつ自由な議論の場を提供する。

共同代表|運営メンバー

稲垣知宏(広島大学教授、日本パグウォッシュ会議代表)

榎本珠良(明治大学 研究・知財戦略機構 特任教授)

河合公明(戸田記念国際平和研究所 主任研究員、「先端技術、安全保障と平和」研究グループ代表)

佐藤丙午(拓殖大学海外事情研究所副所長、拓殖大学教授)

鈴木達治郎(長崎大学教授、長崎大学RECNA「先端技術と核リスク研究グループ」リーダ ー、日本軍縮学会前会長)

畠山澄子(国際NGOピースボート国際コーディネーター)

平田知義(明治大学POLARIS-DUT[軍民両用・融合技術研究ユニット]代表、明治大学 研究・知財戦略機構 客員研究員)

事務局

小林陽子(日本パグウォッシュ会議 事務局長)

2021年6月15日現在

青木節子(慶応大学教授、宇宙政策委員会委員)

梅林宏道(ピースデポ特別顧問、長崎大学 RECNA 客員教授)

黒澤 満(大阪女学院大学教授、日本軍縮学会元会長)

勝田忠広(明治大学教授、明治大学POLARIS代表)

菊池昌廣(日本軍縮学会元会長)

黒川 清(政策研究院大学教授、日本医療政策機構理事長)

小沼通二(慶応大学名誉教授、世界平和アピール七人委員会委員)

高原孝生(明治学院大学教授、国際平和研究所所長)

藤垣裕子(東京大学教授、科学技術社会論学会副会長)

山口 昇(国際大学副学長、陸上自衛隊元研究本部長)

吉川弘之(科学技術振興機構特別顧問、日本学術会議元会長)

2021年6月現在